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「おもしろく生きる」ってなんだろう? BESSの新企画『感性の飛び火』vol.1

BESSが大事にしている、家や暮らしの先にある「人間らしく、おもしろく生きる」という価値観を、もっともっと広めていきたい。
そんな思いから、感性の飛び火という新企画をスタートします!

感性の飛び火について

全国LOGWAYの旗艦店として、また、BESSの価値観を世の中に広め、
訪れた人の“感性”が動き出す『暮らし文化発信基地』として
2021年4月にリニューアルオープンした、代官山の「BESS MAGMA」。

そんなMAGMAの場を舞台に、住宅メーカーとしての枠を超えた
「暮らし文化発信企画」
をスタートすることに。
その第一弾が『感性の飛び火』です。
BESSが共感する、それぞれの分野で活躍する人との対話を通じて、未来に向けた生き方や価値観のヒントを探るトーク企画で、
聞き手であるBESS、そして読み手のあなたにも、その価値観が”飛び火”し、感性を刺激しますように…そんな思いを込めて名付けました。

VOL.1ゲスト:譽田亜紀子さん(文筆家)

初回は、BESSが以前からそのおおらかさや創造性に共感していた「縄文」について、文筆家で「土偶女子」として古代文化の魅力を発信されている譽田亜紀子さんにお話をお伺いしました。

譽田亜紀子(こんだあきこ)さん
文筆家。岐阜県生まれ。奈良県橿原市の観音寺本馬土偶との出会いをきっかけに、各地の遺跡、博物館を訪ね歩き、研究を重ねている。著書に『はじめての土偶』『ときめく縄文図鑑』『かわいい古代』他多数

BESSの家、縄文っぽいですね。

譽田さん:家を見ていて思ったんです。あ、縄文っぽい、竪穴住居っぽいなあと。

編集部:BESSの家がですか?

譽田さんがBESSのモデルハウスに足を踏み入れての第一声「ここ、人住んでます?」

譽田さん:そうです。縄文時代の家は12畳くらいの空間が一つだけで、その真ん中に炉があって、その空間が暮らしのすべて。プライベートルームはありません。

編集部:確かにBESSの家も玄関開けたらすぐ広いリビングで、そこで薪ストーブを楽しむユーザー家族が多いです。子ども部屋をつくっても、結局みんな薪ストーブの前に集まるんだよねという話をよく聞きます。

譽田さん:同じです。縄文人も家族みんな炉のまわりにいたと思います。

BESS MAGMAのワンダーデバイス。こんな感じで縄文人も火を囲んでいた?!

編集部:ほんとだ。変わらないですね。実はBESSも縄文文化にはおおらかなイメージや創造性など、シンパシーを抱いていたんです。今、縄文文化に注目する人が増えていませんか。

譽田さん:最近は若い人にも興味を持つ方が増えていますね。土偶などのかわいい造形物への興味を入り口に、当時の文化や価値観に、より詳しくアプローチしている人が増えています。世の中が不安定になると、縄文回帰が起こるとも言われていますね。

1万年も続いた理由。

 編集部:縄文時代は1万年も続いたそうですが、そんなに長く続いたのはなぜですか?

譽田さん:日本列島の自然環境が良かったこともあると思います。最盛期で22万人から26万人ほどがそこに散らばって暮らしていて、争いそうになったら違う場所に移ったりもして、食料をめぐる大規模な争いをすることがなかったようです。森はみんなのもの、実る食料はみんなのもの、うまく分配していこうという精神だったと想像します。

編集部:平和な時代だったんですね。

譽田さん:生き延びる戦略として、助け合うっていちばん合理的ですよね。奪うのではなく、苦しいときはみんなでちょっとずつ融通し合う。それが自分たちの集落を維持して、命をつなげていくためにはいちばんいい戦略だったんだと思います。

 編集部:個という概念ではなくて、集団の中で自分の役割をまっとうするような生き方?

譽田さん:そうだったと思います。一つの集落は15人から20人くらいなので、今でいう親戚の感じですよね。子どもは誰の子と言うよりも社会の子ども。家を建てるにも集落みんなで建てるしかない。収穫の季節には、みんな総出で食料採集。何をするにもみんなでやっていくしかない。それが基本です。

編集部:どんなことが楽しみだったんでしょう。

譽田さん:かんざしや耳飾りは男女ともにしています。狩りに使う道具にもすごく綺麗な模様を彫り込んでいる。土器をつくること、糸を撚ること、みんなで森に行ってきのこや山菜を採ること。暮らしすべてが楽しみだったのではないかなと思います。飢餓の時期もあって平均寿命は40歳前後の時代ですが、楽しみをうまく見つけて心の支えにしていたのではないでしょうか。

人間らしく、生き切る人たち。

編集部: 現代の私たちの生き方にも取り入れたいことがいろいろありそうです。

譽田さん:そうですね。私がそもそも縄文っておもしろいなと思ったのは、人間が本当に人間らしく生きていた時代のように感じたからです。動物として、第六感も働かせながら、人間至上主義にはならず、存在としてはいちばん弱いと自覚しながら生きている。それに長野で採れる黒曜石が北海道で出土していたり、青森の土器が八丈島で出土しているところから、ギフトのやり取りで、何かあったら助けてくれというセーフティーネットを張り巡らせていたこともわかっているんです。弱いけれど、そういう強さも持っている。

編集部: たくましくて、やさしいんですね。

譽田さん:それが本当の意味の人間らしさなんじゃないかと思うんです。死だって今のように忌み嫌うことなく、動物として当たり前のことだと心に刻みながら生きている。人が人らしく、命の使い方をわかっていて、生き切る人たちだったんだと思います。誰かのためにとか「俺が」「俺が」と個を主張するわけでなく、自分が楽しく生きる。でもそれは自分のことだけ考えるということではなくて、周りと自分は一緒。個だけれど個じゃない、共同体の意識が自然にあった。

編集部:その縄文マインド、取り入れたいですね。

譽田さん:そうですね。最近、「利他」の大事さが語られることがありますが、縄文時代はそれがあたりまえ。人間の小ささも弱さもよくわかっていて、おたがいさまで助け合っている。現代の私たちも、同じ時代、同じ社会を一緒に生きている意識が少しでも増えれば、隣の人にやさしくなれて、自分が生きやすくなるのかもしれないですね。

インタビュー全編はpodcastにて!(前後編あります)

また、この「感性の飛び火」は、MAGMAでのトークイベントも開催していきます。先日開催しました第1回の様子も、後日noteでお届けしますので、ぜひお楽しみに!

取材後記

元々、有名な「火焔型土器」や何とも言えない表情やフォルムが愛らしい土偶たち、創造性豊かでモチーフとして大好きだったんですが、今回の譽田さんのお話で、縄文人の暮らしやその価値観など、深いお話をたくさん聞けて、現代人見習うこといっぱいあるやん…と共感ポイントが目白押しのインタビューとなりました。

【今回の書き手】 BESS note編集長 ウエダ
このインタビューのちょうどすぐ後、江戸東京博物館で特別展「縄文2021―東京に生きた縄文人―」が開催しており、なんてタイムリーなんだ…と6歳息子を連れていそいそと出かけ、譽田さんから聞いた話を息子にさも自分の知識のように披露しながら(笑)一緒に楽しみました。知識が増えると好奇心も増えてまた少し日々が楽しくなる、「感性の飛び火」をそんなコンテンツにしていきたいな、と思っています。

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